「ジャニー喜多川氏の遺産、日本エンタメ業界に与えた影響とは?」
〈記者 それ以上の行為があったと知っていましたか? リュウ氏 事細かには言わないですけど、その、それ以上になっているということは聞いています。 記者 ジャニー氏に非があったとは言いたくないようですが、なぜなのでしょう? リュウ氏 これはなんでなんだろうなあ。これはやっていることの良し悪しは絶対に悪いことなんですけど。簡単に言えば、ジャニーさんのことが嫌いじゃない、むしろ好きなんで僕は。今でも大好きですよ。 記者 失礼ですが、理解できません。 リュウ氏 本当に。ジャニーさんは本当にすばらしい人で。僕も本当にお世話になって……。すごく愛をもって接してもらえたと今でも思っていて。僕にとってはそこまで大きな問題じゃないんで、こうやって笑ってしゃべれているのかなというところがありますね。〉この後でアザー記者は「グルーミング」に関連して感想を吐露している。
〈 リュウ氏の言葉の一部は異様に覚えました。本人に自覚がなく、まさにグルーミングです。グルーミングは、加害者が被害者を懐柔して、特別な絆があると思い込ませることです。 リュウ氏は加害者に対して、敬意どころか愛情すら持っています。 それほどジャニー喜多川氏の強い影響下にあるのです。〉性虐待は被害者の親も知っている“周知の事実” アザー記者はさまざまな元少年たちに取材を重ねるうち、性虐待疑惑を当の少年たちだけでなく親たちも知った上でジャニーズ事務所に子どもたちを送り込んでいるという証言を得る。確実に名声が約束されるのであれば、性行為さえも厭わないという元ジャニーズJr.の証言も拾う。被害者の側にも“枕営業”の存在を率直に認める人間がいたのだ。 アザー記者が取材した別の元ジャニーズJr.の淳也氏の証言も「グルーミング」の影響をうかがわせるものだった。1980年に13歳でジャニーズに入った淳也氏。デビューすることはなく、6年間ジュニアとして事務所に所属した。 淳也氏 (かつて合宿所があったビルを指して)ここです。 ジャニーさんはそういう一つのクセをもった方であることは確かです。 子どもたちに対して、「必要以上のかわいがり方」をしたのも確かです。 記者 それはどういうこと? 淳也氏 やっぱり身体をなで回される。いじられる。いわゆる男の子の“大事なところ”をグリグリされる(手を握るそぶり)みたいな(笑)。 記者 少年たちは喜多川氏の行動を理解したのでしょうか? 根本的に悪いことであるとか? 淳也氏 基本的には小中学生で未経験な子たちが多かったので、初体験(の相手)はジャニーさんだったというのは今でも笑い話で言うぐらいで。 記者 自分のことを侵害されたとは考えないのですか? 淳也氏 僕はそこまでやられていないんで。被害にも何も遭っていない。ただ、マッサージしてもらったレベルの延長……。本当にファミリーな。 記者 少年たちの親は知っていた? 淳也氏 いや全然……親は知っている事実ですから。けど、ジャニーズ事務所に入れたい。“周知の事実”なんですよ。ジャニーさんがホモセクシュアルだ、少年愛だ、知っているんですけど、それをノーとはしない。 記者 一線を越える行為に及んだら、それは犯罪では? 淳也氏 本当にジャニーさんが犯罪者であり、犯罪的な行為を行っていたと言ったら、当然、支援も受けられなかっただろうし、受けられなかっただろうと思うし。 どんな芸術家も「性暴力」「性虐待」は正当化することはできない 子どもたちがジャニー氏の“性の餌食”になっていたと証言しながら、それを性虐待、性暴力だったとはけっして認めようとしない淳也氏。アザー記者は「彼自身も理解しきれていないのでしょう」と断定し、彼は「加害者に敬意の念」を抱いていると「グルーミング」の影響を指摘している。 (アザー記者の独白)ジャニー喜多川氏の性的虐待は日本社会では公然の秘密であり、またそれを取り巻く沈黙もまた恐ろしいものです。 たとえ「すばらしい人」や「すぐれた芸術家」でも、「性暴力」「性虐待」は正当化することはできない。むしろ優越的な立場を利用した卑劣な行為として厳しく断罪されるべきだというのが#MeToo運動以降の国際社会の共有認識だろう。 子どもたちをめぐる性暴力をめぐっても、「グルーミング」という考え方が広がった現在、その手口を共有して社会全体で警鐘を鳴らすことがメディアを始め大人たちに求められている。無防備な子どもたちの人権をいかにそうした狡猾な暴力や虐待から守るのか。それは現在では社会全体の責務だといっていい。 BBCのドキュメンタリーでは、故ジャニー喜多川氏について街頭で人々にインタビューしている。ジャニー氏のことを「神だ!」と崇める若者も登場する。また「(性虐待の噂は)聞いたことがあるが、ジャニー喜多川氏が死去した今は触れたくない」と見て見ぬふりをするような中年女性も登場する。 日本人の多くがジャニー氏の行為を悪いことだとわかっていながら、けっして正義を実現せず、責任を追及しようとしない社会。そんな日本社会にアザー記者が苛立った表情を見せる場面がたびたび出てくる。 BBC放送後も日本メディアは「反応ほぼゼロ」 BBCのドキュメンタリーの放送後も、日本のテレビは事実上黙殺したままだ。あれほど「グルーミング」問題について報道してきたNHKでさえも完全に沈黙を貫いている。 どのテレビ局も、朝からジャニーズのタレントたちが出ない日はないほどジャニーズ事務所が圧倒的な権力を誇示している。民放もNHKも、ジャニーズににらまれたら、テレビ番組の制作に大きな支障が出てしまう。だから、今回のBBC報道はなかったことにするしかないのだろう。 全国紙でも朝日新聞や毎日新聞などに少し記事が載ったものの、いずれも単発での扱いだ。こちらもジャニーズ事務所とコトを構えるつもりはないことが明らかだ。だが、メディアの扱いが冷淡なのは、そんな力関係だけのせいではないように思う。 ジャニー喜多川氏が2019年に死去した後も、バラエティ番組などでジャニーズのタレントたちが「ジャニーさん」のエピソード話で時々盛り上がっている。もちろん、性虐待の話などは一切出ないが、「ジャニーさんが見出してくれた」「ジャニーさんに稽古をつけてもらった」などの「師と弟子の物語」は最近でもたびたび耳にする。好感度の高いタレントほど「ジャニーさんへの愛情」をトークの中にさりげなく散りばめてくる。 BBCの記者が「死後何年も経っている今でも、大きな影響力を誇っている人物の写真を使えないのは変だ」という日本社会の状況がある。顔を出さない「ジャニーさん」のイメージが、タレントたちの口やメディアを通じて日本人の精神にまで浸透しているのではないか。 ジャニー喜多川氏を受け入れたのが「この日本」 これも一種のグルーミングといえるのかもしれない。故ジャニー喜多川氏によって日本中の人たちがグルーミング(=飼い慣らし)を受けているのではないか? そんな疑問さえわいてくる。 BBCのドキュメンタリーで元ジャニーズJr.の淳也氏が語った話が耳の中で反響する。 〈だけどそれを受け入れたのがこの日本なんですよ〉 〈トップ企業にのし上げたというのが日本なんですよ。日本そのものだと思います〉 ジャニーズ事務所をめぐる問題のありようは「日本そのもの」だという、ジャニーズ事務所にいた男性による指摘。「子どもに対する性暴力・性虐待」について、私たち日本人は欧米と比べればまだかなり遅れた段階を生きているのかもしれない。 子どもへの性虐待・性暴力を問題視すべきところを許容し、「見て見ぬふり」をしている日本人。一体それは何を物語っているのだろうか。私たち自身も知らぬ間にグルーミングされてしまっているのだろうか。 そんなふうに「自画像」を見せつけられ、「自問」させられたドキュメンタリーだった。 まだ見ていないという人には、ぜひ見ることをお勧めしたい。(水島 宏明)

(出典 news.nicovideo.jp)
| aqula0001 個人の見解なんだが、ジャニー喜多川氏はアメリカ国籍で元米軍軍属と言う立場だから手を出せなかったんじゃないかと思う。それが当時の司法が動かなかった理由の一つだと思う。親族や事務所側もそれを利用して、他の事務所からの影響を排除しつつ芸能界での立場を拡大したのでは無いかな。 |







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