「痴漢・盗撮を撲滅したい」“パトロール系YouTuber”の主張を聞く | ニコニコニュース
◆過去の経験を社会に活かしたい
ガッツchの動画は、痴漢や盗撮などの犯行の瞬間から警察に引き渡すまでの一部始終が撮影された構成になっている。このようなチャンネルを始めようと思ったきっかけから尋ねてみよう。
「私がこれまで経験してきたことを、社会のために一番活かせるのがこの活動だと思いました。過去には暴力団に所属していたこともありますし、運営していたメンズエステが、摘発(不起訴)されたこともあります」
◆誰もが被害者になりえるから…
反社会的な世界から足を洗った現在、同チャンネルの活動は社会貢献のひとつだという。しかし、なぜ「痴漢と盗撮」をターゲットにしているのだろう。
「運営していたメンズエステは、風俗店ではないので性的なサービスは厳禁としていました。しかし、女性セラピストが何度拒絶しても、体に触ってくるお客さんは大勢いたんです。これは性犯罪と言って良いと思います。こうした性犯罪を少しでも減らしたく、誰もが被害者になりえる『痴漢と盗撮』についてのチャンネルを始めることにしました」
◆「厳罰化と刑事手続の簡素化」が駆逐への近道
では「駆逐」を掲げるチャンネルとして、どのような将来的展望を持っているのか。中島氏曰く、「まずは法整備」だという。
「まず、性犯罪の厳罰化で抑止を測ることでしょう。そして、立件までの刑事手続の簡素化も必要です。私も目撃者として聴取されますが5~6時間拘束されます。被害者はさらに長い時間に及ぶ上に、辛い体験を話さないといけない精神的苦痛もあるので、これを軽減したいです」
◆監視カメラの位置を変えるべき
次に、鉄道会社や私たちなど民間への訴求だと中島氏は続ける。
「痴漢や盗撮を防止する観点では、無意味な位置についている監視カメラが多いので、専門家の意見を聞いたうえでの設置を検討してもらいたいです。そして女性専用車両の拡充と男性専用車両の導入です。トイレや温泉で実現できているので、不可能ではないはずです」
そして中島氏は、これらの施策を実現するために、以下の変化が必要だと話す。
「なにより、私の動画を多くの人に見ていただきたいです。それによって、世間が性犯罪防止にもっと関心を高めてくれることで、法整備や鉄道会社の動きも変わってくると思っています」
◆暴力沙汰になったことはない
痴漢や盗撮の生々しさと加害者とのやりとりは、いつ暴力沙汰になってもおかしくないような緊迫感がある。実際視聴者からも心配の声は多いそうで、これまで実際に危険な目に遭遇したことはないのか尋ねると、「これまでそういったことはありません」とのこと。
さらに、視聴者からのコメントには、撮影して公開することで、逆恨みを心配する声もあるというが、「そもそも、痴漢や盗撮は隠れてやる犯罪なので、撮影されたことを逆恨みされても表立って攻撃してくることはないと思っています」と頼もしい一言。
また、今後の犯罪抑止のためにも、モザイクをかけずに加害者の顔を晒すべきという声もある。その点について、中島氏はどのように考えているのか。
「私がこのチャンネルで達成したいのは、先ほどお話ししたビジョンですので、顔を晒すような私刑とは一線を引いています。」
◆パトロールに効果はあるのか?
駅や電車でパトロールする活動を続けてきて、犯罪抑止の効果は感じているのか。中島氏は次のように話す。
「私がよく撮影をする駅や路線では減っていると思いますが、他の路線に移っただけかもしれませんし、残念ながら総数は変わらないのではないでしょうか」
1人での活動で抑止するには限度があり、周囲の多くの目が欠かせない。しかし、中島氏が犯行の予兆を察知したり、鉄道警察が挙動不審の人物をマークするといったテレビで見かけるような場面は、経験に裏付けされた嗅覚の賜物で、一般には難しいようにも感じるが。
「そんなことはないんですよ。気にして人の動きを見ていると、『物色行為』といわれる加害者がターゲットを探す動きは、誰でもわりとすぐに気づけます」
確かに私たちは「移動」という目的があるため、駅や電車で他人を観察するようなことはほとんどない。この無関心が犯行をしやすくしているとも言える。わずかな時間でも意識すれば、犯罪抑止に繋がるかもしれないということだ。
◆声かけでも犯罪が抑止できる
ガッツchからこうした犯罪の抑止に関心を持ち、もし痴漢を発見できたとしても、現場で実際にそれを指摘する行為は勇気がいるものだ。
「もちろん、誰もが犯人に声をかけて現場で痴漢や盗撮を制止させるのは難しいと思っています。しかし、女性に一声かけてあげるだけでも、その場の行為は止められることもあります」
同チャンネル内でも、満員電車内で痴漢をされ嫌がり怖がっている様子の女性に、中島氏が「痴漢されていませんか」と声をかける場面もある。すると、それまで俯いて黙っていた女性が「痴漢されてます」と返事をし、加害者と思しき人物を警察に引き渡すことができた。女性への声かけでも犯罪が抑止できるのだ。
中島氏は、性犯罪の撲滅を目指し今日も駅や電車で目を光らせている。この活動で、辛い思いをする女性が少しでも減るよう願うばかりだ。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。

(出典 news.nicovideo.jp)
コメント