歩いて稼げるSTEPN、なぜ日本企業からは登場しなかったのか? 立ちはだかる法の壁 | ニコニコニュース


 ブロックチェーンゲームの可能性を世間に知らしめたものの1つが、“歩くだけで稼げる”をうたったSTEPNだろう。2022年には国内でもSNSで話題となり、これまでブロックチェーンゲームに関心のなかった人たちが取り組む姿が見られた。 【その他の画像】  昨今はWeb3ブームであり、複数の大手ゲーム企業が参入を宣言している。しかし、STEPNの登場から1年が経っても、同様のゲームは国内で登場していない。その理由の1つには国内の法規制があるようだ。  1月17日ブロックチェーンコンサルティングを営むGinco(東京都中央区)と、ブロックチェーンに強い法律事務所ZeLo(東京都江東区)が共催したセミナーから、国内におけるブロックチェーンゲームの法的な難しさを探ってみよう。  法律事務所ZeLoの高井雄紀弁護士は「STEPNのようなサービスやってみたい、という相談がけっこうあった」と明かす。その上で、考慮すべき法的なポイントが3つあると言う。「集団投資スキーム持分」と「業務提供誘引販売取引」そして「賭博罪」だ。  STEPNは、最初にNFTのシューズを買う。シューズごとに適した速度や性能に違いがあることがポイントだ。そしてそのシューズを履いて歩いたり走ったりすると、独自トークンのGSTが手に入る。またどんなシューズが入っているか分からない「シューボックス」というものもあり、これがガチャ要素となっている。  このゲーム構造が、どう法律に関係していくのかを見ていこう。 ●NFTスニーカーが有価証券にあたると、金商法ライセンスが必要  まずは「集団投資スキーム持分」だ。保有することで利益が配分されるデジタルトークンは、株式や社債などと同様、有価証券と定義される。有価証券にはいろいろな種類があるが、次の3つのすべてに該当すると「集団投資スキーム持分」という有価証券に当たる。 1. 出資者が金銭などを出資または拠出すること 2. 出資または拠出された金銭などをあてて事業が行われること 3. 出資者が対象事業から生じる収益の配当または財産の配分を受けられる権利であること  「NFTスニーカーを買ってそれだけで収益が得られるなら集団投資スキーム。STEPNではここに“歩く“というワンクッションが入っているが、歩くだけというのは買っただけで配当が入ってくるのに近い。集団投資スキームに当たると考えるのが無難だ」と高井弁護士は言う。  NFTスニーカーが集団投資スキーム持分に当たるとすれば、その売買を業として行うには金融商品取引業のライセンスが必要になる。このことが、参入を難しくしている。 ●NFTスニーカー販売が業務提供誘引販売に当たると、ユーザーに紙を送らないといけない  次に問題となるのが特定商取引法が定める「業務提供誘引販売」だ。これは「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で商品を売る取引を規制するために作られた法律だ。  「歩けば暗号資産が得られます。そのためにはNFTスニーカーが必要なので買ってください、これが業務提供誘引販売取引に当たるのではないか?」(高井弁護士)という懸念がある。  果たしてウォーキングやランニングは業務に当たるのか、スマホをいじったり走らせることが業務提供か? という疑問はあるものの「完全には否定できないので、一応当たり得ると考えるべき」だと高井弁護士は言う。  業務提供誘引販売取引に当たった場合の問題はクーリングオフの対象となることだ。クーリングオフは一定期間内なら契約を無条件で解除できる制度だが、「業務提供誘引販売にあたる場合、“紙”を送らないといけない。紙を送らないと消費者はいつまでもキャンセルできてしまうという落とし穴がある」(高井弁護士)という。 ●シューボックスのようなガチャ賭博罪にあたる?  最後の賭博罪は、どんなNFTシューズが出てくるか分からないシューボックスのようなガチャが該当する。実際には、賭博罪に当たるかどうかは「利益の得喪」を争うかどうがポイントだ。これは、勝者が利益を得て敗者はこれを失うことを指す。  「これが生じなけれが賭博に当たらないが、事業者は躊躇(ちゅうちょ)してNFTガチャに踏み切れなかった」(高井弁護士)  しかし、22年10月ブロックチェーン関連5団体が共同でNFTガチャに関するガイドラインを策定。そこでは何も得られない「ハズレ」を明確に設定しない限り、得喪を争う関係は生じないとされた。  「1万円でガチャを引いたら、ハズレはなく最低1万円の価値のものが手に入るのなら、利益の得喪を争うことにならないということ」(高井弁護士)  これによってNFTガチャ賭博罪の問題はいったん解決したという。 ●STEPNシステムを実装すると暗号通貨交換業にあたってしまう  NFTシューズの販売とNFTガチャだけでもいろいろとクリアしなくてはいけない課題が多いが、さらにSTEPNと同様のシステムを実装しようとすると、別の法的課題が立ちはだかる。  Gincoの房安陽平副社長は「通常想定されるシステムを作ると、暗号通貨交換業者に当たってしまうので、ここを迂回する仕組みから考えなければならない」と、その難しさを指摘する。  STEPNのようなサービスでは、NFTとは別に暗号資産を取り扱う必要がある。STEPNはブロックチェーンゲームであり、ブロックチェーンネイティブトークンは基本的に暗号資産だからだ。  いわゆる仮想通貨取引所を運営するための暗号資産交換業ライセンスは、極めて取得が難しいことで知られる。「ハードルが高すぎて、実質的に無理な状況」だと高井弁護士。またライセンスを獲得できたとしても、顧客資産保護のために厳重な内部統制が求められ、極めて高い管理コストがかかる。  「暗号資産ではないアセットをオフチェーン側で発行してなんとかしたり、海外にサーバを移して正面突破するなどの方法は考えられる。規制が悪いとは思わないが、素早くサービスを提供するとなったら、海外よりも厳格に暗号資産交換業者が定義されている点が難しい」(房安氏)  いわゆるデジタルアイテムとしてのNFT販売は各社が参入して花盛りだが、それはその形ならば該当する規制がなく、事業に参入しやすいからだ。そしてSTEPNのような、凝った形のサービスを実現しようとすれば、さまざまな法律の壁を乗り越えなくてはならない。  米FTXの破綻の中、国内事業者であるFTX Japanは国内の厳しい規制のおかげで顧客資産を分別管理しており、国内投資家の資産は守られた。こうした点から、日本の規制を評価する声も多い。一方で、厳しい規制によってイノベーションの種を海外に持っていかれる懸念も強い。期待は大きいながらも、なかなか最先端のWeb3プロダクトが出てこない理由は、こんなところにもあるのかもしれない。
“歩くだけで稼げる”をうたったSTEPN


(出典 news.nicovideo.jp)

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歩いているのに自転車操業

けろん けろん

半年以上前に経済システムがぶっこわれたゲームの話するんか

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日本の法仕事してるな